オーガニック先進国 オーストラリア
オーストラリア人は一般的に早寝早起きでアクティブ。健康的なライフスタイルを送る人が多い一方で、近年アレルギーや肥満が問題となっており、健康や食品に対する意識が高まっています。
そんな中、健康によい自然食品、特にオーガニック(有機)食品やグルテンフリー(グルテン不使用)食品が急速に拡大しています。日本では自然食品店に足を運んだり、オンラインで取り寄せなければなかなか買えませんが、オーストラリアでは普通のスーパーで広く販売されています。価格も比較的手頃で、オリジナルのPB商品(自社製品)も多く、健康志向の強い一部の高所得者層だけでなく一般の消費者へと広がっています。スーパーではほぼ全ての商品ラインでオーガニックやグルテンフリー商品が揃っており、もはやなくてはならない選択肢の一つとなっています。
また、オーストラリアは、広大な自然に恵まれた世界有数の農業国です。豊かな自然環境のなかで厳しい食品安全基準を満たしたオーストラリア産有機食品は海外での人気も高く、輸出も毎年1.5倍のペースで増えています。
サプリメントからReal Foodへ
オーストラリアに限らず、海外の健康食品業界では、これまでサプリメントが主流でしたが、近年はサプリメントに頼るのではなく、体によい「Real Food(本物の食品)」を選ぶ消費者が増えています。多少値段が高くても、日々の食事においてオーガニックや健康的な食品を積極的に取り入れることで体の内側から健康になるという傾向が強くなっています。
ブームを超え定着したグルテンフリー
グルテンとは、小麦、大麦、ライ麦等に含まれるタンパク質の一種で、水を加えると独特の粘りや弾力が出るのが特徴で、パンやうどんなどのモチモチ感はグルテンに由来しています。また、パンやパスタに限らず、グルテンは今やほとんどの加工食品に含まれています。
ところが、近年グルテンの健康への悪影響に対する懸念から、欧米を中心にグルテンの摂取を控える人々が増えています。オーストラリアでは、セリアック病(グルテンに拒否反応を示す免疫疾患)や小麦アレルギーを持つ人は、全人口の1-2%とされていますが、10人に1人が、特に病気などがなくても、自らの意思でグルテンを採らない、もしくは制限しているという調査報告もあります。スーパーだけでなく、レストランやカフェでもグルテンフリーメニューもしくはグルテンフリーオプションを選べるところが増えており、グルテンフリーの勢いはますます拡大しています。
新商品、新たなトレンドの発信地
これらに加え、欧米では旧石器時代の食事に倣いできるだけ調理加工していない野菜や肉・魚などの動物性たんぱく質を中心に摂取するパレオダイエット、食材を加熱調理せず生もしくはできるだけ生に近い状態で摂取する食事法のローフードや抗酸化作用の強いスーパーフードなど、新たなトレンドや食材が続々と登場しています。他にも、ベジタリアン・ビーガン食材、乳製品や卵不使用食品、ヘルシースイーツ・スナックなど、自然豊かで農業が盛んなオーストラリアならではの新たな商品やトレンドが世界に先駆けて次々と生まれています。